2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

坂上秋成『夜を聴く者』

久しぶりに、THE・純文学を離れてエンタメ小説を読んだ。キャラクター小説、ライト文芸のジャンルになるのかな。 二作品収録されていて、長編の表題作と、短編の『パーフェクト・スタイル』。 表題のあらすじを表面だけなぞると、鍼灸師のミハイは青春時代か…

谷崎潤一郎『春琴抄』

変態文学(誉め言葉)好きなら避けては通れぬマゾヒスト、日本文学の輝く変態、谷崎潤一郎の名作。 純日本的な文体を目指した、と言われる文体は饒舌というよりも、抑制の利いていて、読点が必要最低限以上に削られた長文の語りが特徴、というか、壁だ。慣れる…

村上春樹『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』

ゆっくりでもいいから、村上春樹全集を読破しようと思って半年。学校の図書館に借りられたままだった第四巻が帰ってきていたのですぐ借りて読んだ。一週間と少しかかった。 実はこの作品、二年前にも読んだことがあったので通読は二度目だ。村上春樹作品は、…

斎藤環『戦闘美少女の精神分析』

斎藤環『戦闘美少女の精神分析』を読んだ。『風の谷のナウシカ』、『セーラームーン』、『新世紀エヴァンゲリオン』などジャンルを問わず現代日本アニメには戦う美少女が登場する。 それは『ルパン三世』の峰不二子や、アメリカの映像作品に描かれる成長した…